Word from the artist

画家の言葉


私が絵を描き始めたのはいつの頃からだろう?

覚えている限りいつも落書きをしたり、漫画を書いている幼年時代だったと思う。
もし私に絵を描く才能が有るとすれば、それは子供の頃いつも母が手作りでいろいろな物を作っていたからではないだろうか。
私が何歳だったか覚えていないが、母が新聞広告を小さな三角形に切り、くるくると丸めて筒状の物を作りそれを何百もひもに通し「玉のれん」のような物を作る手伝いをしていた事を覚えている。
また有るときには、何処で見つけたのか錦絵を使った広告かなにかをどこかで拾ってきた木箱に一生懸命貼って衣装や小物を入れるような箱を作っていた事も覚えている。
私はいつもそういう母の行為を横で見たり手伝ったりしながら美しい物を手作業で作って行くというような事を自然に学んで行ったのだと思う。

私が経験した中で一番最初に訪れた美術展は「モネ展」、絵が大好きだった私のために、母が連れて行ってくれたのです、確か中学生の頃でした。

父が亡くなった後も、絵を描く事に協力的でいつもサポートしてくれてきた母に感謝します。

生きるという事
絵を描くという事
旅をするという事

私の中では、これらは同じ意味を持っている。
ロサンゼルスで暮らしていたときも、20年以上暮らしていたのに、なぜか定住というよりは旅人だったような気がする。
今もまだ自分の最期の地は決まっていない。
きっとそれは一生決まらないだろうし、決める必要も無いだろう。
これからも、私はきっと目の前にある景色に感動してそれを作品に仕上げて行くのだと思う。

さて私の絵のルーツですが、一番は大好きなヨーロッパの画家達です。
様々な技法がある中で油彩を始め一般的に洋画という技法を学んできた私には、ヨーロッパは自分自身のスタート地点でもあり、ゴールでもある。
この土地で古くは地中海芸術が生まれ、やがてルネッサンスの時代、ダ・ビンチが絵を描き、ミケランジェロが石を刻み、さらにはパリでモネやマネ、ロートレックが活躍をして、ゴッホがゴーギャンと暮らしていた。
私にとってヨーロッパは特別な場所なのです。
同時に、日本美術からの影響もすごくあります。特に北斎は技術的に画家としての生き方からも多くを学びました。

私が絵を描き続けている事に関して今まで出会ったすべての人へ感謝を捧げます。
特に私に絵心を芽生えさせてくれた母、人生のパートナー、リン、友人のようにつきあってきた弟、隆一、またいつも実の弟のように気にかけていてくれた叔母の隆美、さらに叔父の徳満、展示会を後押ししてくれた宮本一、その他多くの親戚、友人たち。
また、実際に絵を購入して家に飾ってくれている人々。そのために販売してくれて、私の活動を見守ってくれる画廊の人々。

そしてそして、大切な宝物、3人の子供達、賢と愛と幸。
ほんとにありがとう。

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